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2009年 01月 15日
迷子の犬と女の子のお話です。 *********** エリちゃんは丘の上の小学校に通う4年生。 1月12日はお休みでしたが、仲良しのハルカちゃんたちと校庭で遊ぶ約束をしていたので、エリちゃんはお昼ごはんを食べて宿題をしてから学校へ行きました。 空は晴れていて校庭には北風が少し吹いていましたが、みんなで遊びました。 そろそろみんなお家に帰る時間なので、校門のところでハルカちゃんたちとバイバイしたあと、エリちゃんは学校の横の空き地を通ってお家の方へむかって歩き始めました。 さっきまで青紫色に見えていた榛名山に真っ白い雪雲がかかって北風が冷たく吹いてきます。 エリちゃんが少し急いで歩き出したとき、空き地の隅を黒っぽい小さな生き物が歩いているのを見つけました。 よく見るとそれは足の短い犬で、寒そうにふるえながらとぼとぼ歩いていました。 エリちゃんがそーっと近づいてゆくとその犬は立ち止まってエリちゃんの顔を見上げました。 何だかおじいさんのようでおもしろい顔をしています。 でもブルブル震えてとても寒そうです。 「あなたはどっから来たの・・・?」 エリちゃんがしゃがんで尋ねると、短い足の犬は少し首を傾げていっそうブルブルと震えてじっとこちらを見ています。 「早くおうちへ帰りなさい。」 と、エリちゃんが言って歩き出すとヨロヨロとエリちゃんのあとをついてきました。 「ママが心配しているよ。」 と言ってまた少し歩くとやっぱりエリちゃんについてきます。 エリちゃんは何だかかわいそうになってその犬を抱っこしておうちまで連れて帰ることにしました。 エリちゃんに抱っこされても、その犬はブルブル震えてとても寒そうです。 それに体中に草の種がくっついていてちくちくします。 お母さんに叱られるかもしれないけど、エリちゃんの家にも犬のロンが居るし、それにこのままではこの小さい犬がかわいそうでたまらなかったのです。 エリちゃんはお家に帰ったらお父さんに草の種をとってもらおうと思って急いで帰りました。 お家に帰ると、お母さんはエリちゃんの連れてきた犬を見て、 「あらー!・・・どうしたの?そのワンちゃん。首輪をしているからきっと飼い主さんが探しているわよ。」 と言いました。エリちゃんは叱られませんでした。 その日はお父さんがいつもより早く帰ってきました。 お父さんは「ちょっと変わったダックスだな。」と言って、犬の体中にくっついている草の種を取ってから、お風呂に連れて行って犬の体をロンのシャンプーで洗いました。 黒っぽい犬はよく見ると茶色い毛も混ざっていて、短い足で胴長なのでダックスなのですが、顔を見るとヒゲとまゆ毛があっておじいさんのような顔をしています。 ロンのドッグフードをお皿に入れて犬の前に置くと、勢いよく食べました。 ずいぶんお腹が空いていたようです。 「チョコレート色に似ているからあなたの名前は“チョコ”。今日からともだちね!」 とエリちゃんが抱っこして言うと“チョコ”はニカッと笑いました。 笑った顔をよく見ると前歯が何本か抜けています。 「小さいけどこの犬はけっこう年寄りだな・・・。」 お父さんが言いました。 チョコはお風呂に入ってお腹がいっぱいになったら、ずいぶん元気になりました。 エリちゃんの弟のタックンのおもちゃ箱の中から、小さいぬいぐるみをくわえてきて遊びだしました。 お父さんのところへ持って行って鼻でツンツンします。 お父さんがぬいぐるみを投げるとピュ―っと走って行ってくわえて来ます。 それがおもしろいのでみんなで何度もチョコに“持ってこい”をさせました。 ずいぶん遊んで疲れたのか、チョコはコタツの中で眠ってしまいました。 「この子はずいぶん寒がりねぇ。でも寝るときはココで寝るのよ。」 と言ってお母さんがロンが仔犬の時に使っていたケージにタオルを敷いてチョコのハウスを作ってくれました。 ロンは外の小屋に居るのに小さいチョコはお家の中に居ることになりました。 チョコはお父さんが「ハウス!」と言うとケージの中に入るし、おもちゃを取ってきて上手に遊ぶし、きっと誰かに可愛がって飼われていたんだろうというのはエリちゃんにも分かりました。 チョコは男の子があんまり好きじゃないらしく、弟のタックンや、6年生のお兄ちゃんが触ろうとすると小さな声で「ウ~・・・」と言います。 でも、エリちゃんとお父さん、お母さんにはしっぽを振って甘えて抱っこもされます。 お父さんの言うように年寄りでおじいさんのような顔をしていますが、エリちゃんはもうひとり弟ができたようで嬉しい気持ちでした。 夜、寝ているとチョコがケージの中で「キューン・・・」とないていました。 「・・・ホントのお家に帰りたいのかな・・・?」とエリちゃんは思いました。 次の日、学校へ行く前にお父さんとロンと一緒にチョコを散歩に連れてゆきました。 ロンよりもずっと小さいのに、チョコはちょこちょこ一生懸命歩きます。 エリちゃんは「チョコちゃん。今日は早く帰ってくるからまた遊ぼうね。」と言って学校へ出かけました。 ハルカちゃんたちにチョコの話をすると、みんなチョコに会いたいと言ったので、その日学校が終わってからハルカちゃんたちと一緒にチョコのお散歩をしました。 みんなでかわるがわるチョコのリードを持って時々かわるがわる抱っこしました。 エリちゃんが「チョコはねぇ、男の子が苦手なんだよ。優しくしてあげるとうれしいんだよ。」とハルカちゃんたちに言うと、みんなはやさしくチョコを抱っこしました。 その日の夜もチョコはお家の中でお父さんとエリちゃんとぬいぐるみで“持って来い”をして遊びました。 お兄ちゃんがそーっと撫でようとするとやっぱり「ウ~ッ」と言いました。 お兄ちゃんは「かわいくねーの!」と悔しそうでした。 みんなが寝てからケージの中でやっぱりチョコは「キューン・・・」と泣いていました。 次の日も、ロンと一緒にチョコのお散歩をしてからエリちゃんは学校へ行きました。 学校へ行くとハルカちゃんが「うちのママがね、ミニチュア・ダックスの迷子のワンちゃんを探しているヒトがいるって言ってたよ。」と言いました。 エリちゃんは「チョコはダックスに似てるけどヒゲがあるんだよ。」と言いました。 でもエリちゃんはとても心配になりました。 「・・・学校が終わったらすぐにおうちへ帰ろう・・・。」とエリちゃんは思いました。 5時間目の授業が終わって、エリちゃんは急いで帰ろうと思って校門へ走りました。 校門を出たとき、道の端に立っている電柱に見慣れない紙が張ってあるのをエリちゃんは見つけました。 “犬を探しています”と赤い字で書いてあるその紙には黒っぽい犬の写真がありました。 エリちゃんは走ってお家に帰りました。 ドアを開けてお家に入るとお母さんがチョコのハウスを片付けていました。 エリちゃんは「お母さん、チョコは!?」と聞きました。 お母さんはハウスを片付ける手を止めて今度はエリちゃんの肩に手を置いて言いました。 「今日のお昼頃ね、チョコの飼い主さんがうちに来たの。チョコはほんとうのお家に帰ったのよ。」 エリちゃんは、じっとお母さんの顔を見ていましたが、鼻の奥がむずむずして、涙がどんどん出てきました。 「エリちゃん・・・チョコが本当のお家に帰れてよかったね。」 とお母さんはエリちゃんの頭と背中を撫でながら言いました。 その夜、エリちゃんはチョコのぬいぐるみを触りながらほんとうの飼い主さんが置いていったという紙をよく見ました。 その紙は校門のところの電柱に貼ってあったのと同じ紙でした。 チョコには“チョコ”とは違うほんとうの名前があって、12日のお休みの日の朝、お散歩の途中で迷子になってしまった事が書いてありました。 一番下には電話番号が書いてあって、真ん中におじいさんみたいな顔の黒い犬の写真が付いていました。 その夜はチョコの「キュ~ン・・・」という泣き声はもう聴こえませんでした。 その代わりエリちゃんがお布団の中で「チョコ・・・お家に帰れてよかったね。」といいながら泣きました。 ***********
by kevipa33
| 2009-01-15 21:53
| 犬のこと
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