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2007年 04月 18日
写実画壇展があったので今月の前半は何度か上野に行った。 ちょうど都美術館で「オルセー美術館展」を開催していて、これはぜひ見たかったのだが、あまりの盛況・入場制限・人波に尻込み・・・どうしても見たかったらパリに行って見ればいいんだし・・・と、ぜんぜん現実的ではない理由をつけて諦めた。 ちょうど20年ほど前に、ヨーロッパを旅行したときオルセー美術館に行った事があった。 教科書や画集に出てくるおなじみの名画が次々と所狭しと並んでいる様に圧倒されながら、なかでも僕がそのときホントにびっくりしたのはゴッホとセザンヌの作品から発するオーラの新鮮さだった。 モネもロートレックも大好きだったけどなんと言っても“ゴッホとセザンヌ”。 理由ははっきりわからないけれど、とにかくこの二人はまったく“別格”で、絵の前に立っていると、まるでついさっきまで自分と同じ場所に居た作者の息づかいを感じるほど新鮮な迫力があった。 セザンヌのあたかもカミソリの刃を一枚一枚貼り付けたようなタッチから構築された芳醇な空気感。 そしてゴッホのまさに燃えるような画面のマチエールに定着された宝石のように緻密な絵の具の輝き・・・。情熱や狂気ばかりが何かと前面に取り沙汰されるけれど、実際にはゴッホこそが印象派以降の絵描きとしては随一の油絵技法の名手であったと説く研究者は多い。 …という話を旅行から帰ってしばらくのあいだ僕は何人かの人に話した。 そして数日前のこと。 12年前に建てた我が家を設計してくれた建築家のⅠさんが大きな画集を抱えて久しぶりに訪ねてきてくれた。 「Uさん(僕のこと)確かむかし、ゴッホが特別だって言ってたから・・・」と仰ってゴッホの豪華版の画集をおみやげにと言って僕にくださった。(感謝!) その画集のあまりの豪華さに驚きながらも図版を見ると、あのオルセー美術館で見た原画のマチエールまで再現されていて改めてゴッホの技術の高さに感じ入った。 さらに評伝の文章を少し読んでみてあることに気づいた。 僕は数年前から宮沢賢治にハマッテいてキャンプに行くときに持ってゆく本は宮沢賢治と決めている。(実際にはあまりじっくり読むことは無いけど、風景を見ているときに持っていたい本はやっぱり宮沢賢治なのだ。) その宮沢賢治とゴッホがとてもよく似ているのだ。 二人とも亡くなったのが37歳。 生前の社会的不遇と、亡くなってしばらくしてからの伝説的で熱狂的な評価。 ゴッホは弟に、賢治は妹に限りない愛情を注ぎ、まわりの人々にも愛を注いではみたものの決して正しくは受け入れられずに、ついには自らの才能の大きさに押しつぶされるように夭折した。 僕は、ゴッホと賢治のあまりに似ている生涯の輪郭とともに、その作品世界の圧倒的な強さと独自な気高さ、そして技巧の完成度の高さにどうしても共通なものを感じてしまうのだった。 年譜で確認したら、ゴッホの死の6年後(1896年)賢治は生まれている。もしかして生まれ変わりか?とまで思わせる二人の天才芸術家。 時々ケビンを連れてゆく近所の烏川の岸辺に僕が勝手に名付けた“イギリス海岸”という場所がある。 今朝、そこから河原を眺めると、ベージュ色の葭原から黄緑色の柳の芽吹きがぼんやりと春の雨に滲んでいる。 「・・・ゴッホの見た麦畑の強烈なコントラストはこれとは正反対の調子だったんだろうな・・・。」 などと脈絡も無く思った。
by kevipa33
| 2007-04-18 08:34
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